危険物取扱いについて
危険物の分類
消防法では、指定数量以上の危険物の貯蔵又は取扱いを一般的に禁止しており、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合には、許可を受けた施設において、政令で定める技術上の基準に従っておこなわなければならないとされています。
一般に危険物というと、引火性物質、爆発性物質、毒劇物あるいは放射性物質など危険性のある物質を称している場合が多く、その貯蔵、取扱いの安全確保のため、消防法、高圧ガス保安法、薬事法、毒物及び劇物取締法、火薬類取締法などの保安規制が行われています。
下の表は消防法における危険物の分類です。
表1
類 別 |
性 質 |
品 名 |
第一類 |
酸化性固体 |
1 塩素酸塩類
2 過塩素酸塩類
3 無機過酸化物
以下、省略 |
第二類 |
可燃性固体 |
1 硫化りん
2 赤りん
3 硫黄
以下、省略 |
第三類 |
自然発火性物質及び
禁水性物質 |
1 カリウム
2 ナトリウム
3 アルキルアルミニウム
以下、省略 |
第四類 |
引火性液体 |
1 特殊引火物
2 第一石油類
3 アルコール類
4 第二石油類
5 第三石油類
6 第四石油類
7 動植物油類
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第五類 |
自己反応性物質 |
1 有機過酸化物
2 硝酸エステル類
3 ニトロ化合物
以下、省略 |
第六類 |
酸化性液体 |
1 過塩素酸
2 過酸化水素
3 硝酸
以下、省略 |
上記表の項目のうち、第四類が私たち塗料の取扱いに従事する者にとって最も関係してくる危険物です。
その第四類引火性液体の中でも私たちに関係の深い 第一石油類とは、アセトン、ガソリンその他1気圧において引火点が21度未満のものをいい、第二石油類とは、灯油、軽油、キシレンその他1気圧において引火点が21度以上70度未満のものをいい、塗料類その他の物質であって、組成等を勘案して総務省令で定めるものを除くとされています。
下の表は私たちが日頃取り扱っている主な塗料の類別及び指定数量です。
表2
品名 |
類別 |
指定数量(L) |
品名 |
類別 |
指定数量(L) |
関ペハイブリット |
第4類第2石油類 |
1000 |
オートベースプラス |
第4類第2石油類 |
1000 |
関ペレタンPG2K |
第4類第1石油類 |
200 |
ロックロックエース |
第4類第1石油類 |
200 |
ロックプロタッチ |
第4類第2石油類 |
1000 |
デュポンセンタリ |
第4類第2石油類 |
1000 |
ロックパナロック |
第4類第1石油類 |
200 |
関ペPG80 |
第4類第1石油類 |
200 |
R-M ダイヤモント |
第4類第2石油類 |
1000 |
ニッペスペリオ |
第4類第1石油類 |
200 |
R-M ウノ |
第4類第2石油類 |
1000 |
ニッペアドミラ |
第4類第2石油類 |
1000 |
注:シンナー、クリヤー、硬化剤の分類によっても各メーカー類別が変わります。実際の塗料缶の表示をご確認ください。
貯蔵及び取扱いについて
消防法では、一定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合には一定の技術上の基準に従わなければならないとされており、この基準となる数量を指定数量といいます。
指定数量は、危険物の危険性を勘案し、試験により示された性状に応じて危険性にランクを付け、そのランクごとにそれぞれ危政令で定める数量とされています。
下の表は第四類の品目ごとの指定数量です。
表3
品 名 |
性質 |
指定数量 |
特殊引火物 |
- |
50L |
第一石油類 |
非水溶性液体 |
200L |
水溶性液体 |
400L |
アルコール類 |
- |
400L |
第二石油類 |
非水溶性液体 |
1,000L |
水溶性液体 |
2,000L |
第三石油類 |
非水溶性液体 |
2,000L |
水溶性液体 |
4,000L |
第四石油類 |
- |
6,000L |
動植物油類 |
- |
10,000L |
指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う危険物施設を設置する場合及びこれらの危険物施設の位置、構造又は設備を変更する場合には、あらかじめ市町村長の許可を受けなければならない(法第11条第1項)とされています。
指定数量未満の危険物の貯蔵又は取扱いについては、市町村条例により、その技術上の基準が定められており、その条例には、定められた数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合には、届出が必要とされている。
指定数量の倍数の計算方法
指定数量の倍数を計算するには、貯蔵し、又は取り扱う数量を、その品名に定められた指定数量で除せばいい。
また、品名を異にする複数の危険物を同一場所で貯蔵し、又は取り扱う場合の計算は取り扱うごとの数量をそれぞれの数量で除した値を加えればよい。
Aの貯蔵量/Aの指定数量+Bの貯蔵量/Bの指定数量+Cの貯蔵量/Cの指定数量=倍数
例えば、ガソリン100L、灯油400L、キシレン400L貯蔵する場合
ガソリンの指定数量は200L、灯油1000L、キシレン1000Lなので100/200+400/1000+400/1000=1.3 指定倍数1以上なので許可が必要となります。
上の表2は主な塗料の類別と指定数量が記してあります。
危険物の説明及び性質
引火点=規定条件で物品を加熱して小さな炎を液面に近づけたとき、物品の蒸気と空気の混合気体に引火する物品の最低温度
発火点=可燃物を空気中で加熱した場合、他から点火されなくても、自ら燃え始めた時の最低温度
自然発火=物質が空気中の酸素により酸化されたり、自ら分解したりして発熱し、その熱が長期蓄積されて温度が上昇し、ついに発火点に至って、燃焼を起こす現象
物質 |
引火点 |
発火点 |
物質 |
引火点 |
発火点 |
エーテル |
-45℃ |
180℃ |
ベンゼン |
-11℃ |
538℃ |
アセトアルデヒド |
-38℃ |
185℃ |
ガソリン |
-40℃以下 |
約300℃ |
二硫化炭素 |
-30℃ |
100℃ |
灯油 |
40℃以上 |
約220℃ |
上の表で示されるようにガソリンは-40℃以下でも引火し、灯油は約220℃に熱されれば自ら発火します。
塗料、シンナーは取扱いを間違えると大変、危険です。取扱いの知識を十分にもった上で決して火災を起こさないよう十分に注意をしてご使用ください。
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